AI時代の“見えざる壁”:Google AIモード導入で葬儀社が“選ばれにくく”なる理由と対応策

近年、インターネットで葬儀を検討する方は、「費用」「流れ」「式場・会場」「供養の考え方」など、さまざまな情報を検索します。これまでは、こうした検索結果画面に葬儀社のウェブサイトへのリンクが並び、興味をもった人がクリックして問い合わせや見積もり依頼に進む――という流れが一般的でした。

しかしこの流れに、重大な変化が起きつつあります。

2025年9月、Googleは検索体験を大きく変える新機能「AIモード」を日本語対応で提供開始しました。複雑で多面的な質問にも一度の検索で答える機能で、ユーザーに対する情報提供のしかたが「要約+関連リンク提示」が主流になる可能性があります。葬儀社にとっては、「ウェブサイトに来てもらう」以前に選ばれるかどうかが左右される時代の到来です。

GoogleのAIモードとは何か、その葬儀社への影響、そして “選ばれる葬儀社” になるために葬儀社が今すぐ取り組むべきことを解説していきます。

この記事のトピック
  • Googleの「AI検索モード」の使い方と表示方法
  • Googleの「AI検索モード」で変わること
  • 葬儀社が対策すべき内容

執筆者


株式会社ディライト
AIOコンサルタント|高橋丈太郎

大学在学中からSEO、ウェブデザイン、AI検索を独学で研究。大学卒業後、株式会社ディライトに入社。入社後1年で「AI検索ラボ」をリリースし、革新的なAIソリューションを次々と生み出す。

目次

Google「AIモード」とは何か:検索体験のパラダイムシフト

Googleが新たに導入した「AIモード」は、従来の検索結果の一覧表示を超え、ユーザーの複雑な質問にも一度の検索で答えられるように設計された機能です。

ユーザーの質問をいくつかの要素(サブクエリ)に分解し、複数のウェブサイトから情報を集めて整理・要約ることで、より分かりやすく、深みのある回答を画面上に直接提示します。

例えば、「家族葬の費用と流れ、一般葬との違いを知りたい」というような幅広い質問でも、AIモードなら費用の目安、手順、各プランの違いを一目で理解できるまとめとして提示してくれます。ユーザーは個々のサイトを1つずつ開かなくても必要な情報を得られるため、検索の効率が格段に向上します。

このAIモードはすでに日本語を含む複数の言語に対応しており、パソコンやスマートフォンを介してGoogleアプリから利用可能です。今後はさらに多くの国や地域に拡大され、情報の探し方そのものを大きく変える存在となるでしょう。

マルチモーダル対応

ユーザーはテキスト入力だけでなく、音声入力や画像(写真をアップロードして質問)も利用できるようになり、より自然な方法で「知りたいこと」を尋ねることが可能になっています。

これにより単なるキーワード検索では拾えなかったニーズにも応える設計です。

情報の見せ方が変わる

従来の「検索結果一覧+青いリンク」が中心の検索体験から、「Googleがまとめた回答(要約)+関連リンク」という構成が増えます。そのため、ユーザーはリンクをたどらずに“答えだけ”で満足してしまうケースが増える可能性があります。

つまり、ウェブサイトへの「クリックされる機会」が減る可能性があるのです。これは、いわゆる“情報を発見してもらう入口”が変わってしまうということです。

AIモード 使い方と実際の検索結果

AIモードへのアクセス方法は主に3つ。

  • google.com/ai にアクセス。
  • www.google.com にアクセスし、検索バーに質問を入力して、[AI モード] をタップ。
  • Google アプリで、ホーム画面の AI モードアイコンをタップ。

今回はgoogle.com/ai にアクセスして、検索結果を見てみましょう。

AIモード 検索画面

AIモードの検索画面になります。
Geminiやchat GPTをよく触る方には見慣れた配置ですね。
ここに、そのまま自身の悩みや疑問、調べたい内容を打ち込むだけで検索が開始して回答を出力してくれます。

「練馬区でおすすめの葬儀社は?」と調べた場合

検索結果には「マキノ祭典」、「新樹葬祭」、「あんしん祭典 豊玉中央」、「東京祭典」、「とみん葬祭」などが表示されました。

GoogleのAIモードでは、検索結果が従来のリンク一覧から「AIによるまとめ記事」になったと言えます。
複数の葬儀社の特徴や口コミ、サービス内容が整理されて一覧で表示され、地図やレビューもその場で確認できます。

ユーザーは詳細ページを一つずつ開かずに比較できるため、AIに選ばれない葬儀社は検索段階で候補から外れる危険性が高まっているのです。

葬儀社にとっての影響:選ばれないことのリスク

クリック率(CTR)の減少が現実化

海外のSEO調査では、AIによる検索結果要約(AI Overviews)が表示されると、従来の検索結果リンクへのクリック率が大幅に低下する傾向が報告されています。

ユーザーは「答えが既に目の前にある」と感じ、リンクを開かずに情報収集を完結してしまうためです。葬儀業界は検索ニーズが「緊急性」と「比較検討」を伴うため、この影響が特に顕著になると考えられます。

ユーザー行動の変化:比較検討から“即決”へ

AIモードでは「おすすめの葬儀社」「費用の目安」「地域ごとの違い」などを一度の検索で提示できるため、ユーザーが複数社のサイトをじっくり比較する機会は減少する可能性があります。

AIが信頼できると判断した数社のみが紹介され、多くの葬儀社は「見られる前に候補から外れる」という状況になりかねません。

地域検索の競争激化

AIモードでは、検索結果にGoogleマップやビジネスプロフィールの情報が引用される割合が増えています

レビューや写真の充実度が重要視され、単に近いだけでは選ばれず、情報をしっかり整備した葬儀社だけが候補として目立てる時代になっています。

 “選ばれる葬儀社”になるために葬儀社が今すぐすべきこと

今後、GoogleのAIモードが広く普及すれば、必要となるのは「AIO(AI検索最適化)」です。

たとえSEOで検索上位を取れても、AIに選ばれなければユーザーの目に留まらず、集客は難しくなるでしょう。
そこで今回は、葬儀社が今すぐ取り組むべき3つの具体的な施策をご紹介します。

ウェブコンテンツの質を最大化する

まずは、サイト内の情報を徹底的に整備しましょう。

葬儀費用の目安や式の流れ、プランごとの違いなど、利用者が最も知りたい情報をわかりやすく掲載し、FAQの形で充実させることが重要です。

加えて、実際の式場や施行事例を写真や動画で見せることで、利用者の不安を減らし信頼を得られます。さらに、スタッフの資格や実績、記事の更新日などを明記し、情報の裏付けを示すことも忘れてはいけません。AIやユーザーが「信頼できる情報源」と認識できる状態を作ることが第一歩です。

SEO・サイト構造のAI対応

次に取り組むべきは、AI時代に対応したサイト構造の見直しです。

従来の単純なキーワードだけではなく、「費用を抑えたい」「家族葬と直葬の違いは?」など自然な質問形式を意識してコンテンツを作成しましょう

また、サイト内で関連情報へスムーズにたどり着けるよう内部リンクを整理し、ユーザーが迷わず必要な情報を見られるようにすることが大切です。さらに、スマートフォンからの閲覧を前提に、表示速度や操作性を改善することで、ユーザー体験を高めることができます。

ローカル検索と外部評価の強化

最後に、Googleビジネスプロフィールや外部評価の管理も欠かせません。営業時間や写真、サービス内容を常に最新の状態に保ち、口コミやレビューを集めやすい仕組みを整備しましょう。

また、地域文化や実績を取り入れた記事を発信し、地元での信頼度を高めることも重要です。

さらに、地域メディアや自治体サイトなど信頼性の高い外部サイトからリンクや紹介を得ることで、GoogleやAIにとっても「信頼される葬儀社」として認識されやすくなります。

 まとめ:葬儀社が「選ばれる存在」であり続けるために

GoogleのAIモード導入は、これまでの「検索上位=アクセス増」という常識を覆しつつあります
AIが要約した情報でユーザーの疑問が解決されてしまえば、サイトを見てもらう前に候補から外れる危険性が高まり、何も対策をしなければ、どれほど長年地域で信頼を積み重ねてきた葬儀社でも「ネット上では見えない存在」になりかねません。

しかし、これは危機であると同時に大きなチャンスでもあります。
AIやユーザーに選ばれるコンテンツを整備し、Googleビジネスプロフィールや口コミの評価を高め、地域に根差した情報をしっかり発信すれば、逆にライバルとの差を一気に広げることが可能です。AIモードは「誰もが同じ検索結果を見る時代」を終わらせ、情報の質と信頼度を重視する方向へ舵を切りました。この変化を早期に取り入れられるかどうかが、今後の集客や問い合わせ数を大きく左右します。

「選ばれない葬儀社」にならないために、今こそサイトや情報発信の見直しを行いましょう。未来の検索体験に対応することで、地域での信頼と集客をより強固にし、AI時代においても真っ先に選ばれる存在になれるのです。

監修


株式会社ディライト
最高技術責任者|川合真人

AI検索分野における先駆者。SEOコンサルタント、UI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニアとして豊富な経験を持つ。東京理科大学を卒業後、多くの葬儀社のウェブ集客を成功に導き、葬儀業界の発展に大きく貢献。AI検索業界でもその評価は高い。

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